2023年度5月号 主題「 動き出す 」

今月の聖句は少年サムエルが神様に応えた言葉です。サムエル記は、イスラエルの歴史の中で、士師たちが登場した時代から、王政の時代に突入するまでの間の出来事を記しています。サムエルは、祭司エリのもと、神殿で仕えていました。この時代は神様が語られることは稀だったのですが、ある夜、神様は神殿で寝ているサムエルを3回呼びました。サムエルは、最初エリが自分を呼んだと思いましたが、エリは3回目にそれが神様からの御声であることを悟り、「主よ、お話しください。しもべは聞いております。」と応えるようにサムエルに伝えました。サムエルの応答に、彼の神様への純真さを知ります。神様がサムエルに伝えた言葉は、エリに関わるとても厳しい内容でした。しかし、翌朝、サムエルは、神様の言葉をエリに伝えることを恐れましたが、一つも隠すことなく、すべてを伝えました。こうして、神様はサムエルと共におられ、サムエルもまた預言者として成長したのでした。

入園・進学から数週間が経ちました。園児たちは新しい環境に慣れてきて、それぞれのペースで先生やお友だちと遊び、少しずついろいろなことにチャレンジしていることでしょう。また、春の季節を園児たちなりに感じながら、身近な自然の中で心を開放して過ごしていることでしょう。そのような中で、聖書のお話や祈り、賛美などを通して、神様が愛し、いつも共にいてくれることを、園児たちと共に喜んで歩みたいと願っています。私たちも、「主よ、お話ください。しもべは聞いています。」という純真な心をもって神様の言葉を受けとめていきましょう。

川井信雄


新年度の日々、子ども達は新しいスタートを感じ、毎日を新鮮に過ごしています。保育初日の当園後、「この上履き新しいんだ」「俺のかばんも」「新しい部屋だね」と新しいことの話題で持ち切りです。すると、以前から使っていた自分の物を指して「先生、これも新しい?」と聞きます。「えっ?それは前から使っていたよ」と答えると、「なんだか新しくなくても、みんな新しくなったように思う」との声。使い古したものまで新しく見えるほど、子ども達にとって新鮮な日々なのです。大人は何度も経験している新生活ですが、子ども達にとっては人生初めて、数回目です。感動をもって過ごすこの時期を、春の空のように、温かく、晴れやかにと願っています。

 そして最も大切な新しいことは、人との出会いです。先生や友達、お家の方々、様々な出会いがあります。この時期の子ども達の人と関わる力は、本当に素晴らしいものです。初めて会った先生に「大丈夫そうだ…」と決めて、そっと手を引っ張って(一緒にあそぼう)と砂場に連れていきます。数日すると名前を覚え「○○先生のトントンでお昼寝」と親しみと安心を強くしていることが分かります。友達作りもすっと友達に近づき、何気ない会話に入っていくのです。この姿は、ご家庭で大切に育まれてきたからこそだと思います。(人と関わることはうれしい)という刻み込まれた安心感がこの時期、しっかり見ることができます。幼稚園ではこの安心を(お家の人以外でも同じだった)と心に刻みこめるよう日々を過ごしていきたいと思います。そして、私達大人も今一度、人との関わりの中で生活する心地よさを思い、豊かなつながりを築いていきましょう。

大谷真理子